俺的ベストラノベ2位の『円環少女』が全13巻 562円とかあり得ない事態なのでとりあえず買うヨロシ

追記:セールは終了しました。とはいえ、定価で買っても損はない傑作なので、次の半額セールのタイミングとかにでも読んでもらえばいいんじゃないかなと思います。

 

電子書籍ストアにおける今月末までのラノベセールが加速し、全巻セット物が90%OFF+20%ポイント還元という「再販売価格維持制度はやっぱ正しいのでは?」と悩むレベルの価格破壊が行われています。

懐かしの『スレイヤーズ』もいいでしょう。数巻ずつで手に取りやすい『シュピーゲル・シリーズ』なども悪くありません。しかし、しかし、この中で最も突き抜けた傑作は『円環少女』だという慟哭が抑えきれなかったので、今これを書いてます。(なお、次点は『Dクラッカーズ』)
後追いしか能のないKindleストアは本日投入であと10時間弱という体たらくなので、さっさと書かないとマズいのですよ。

 

MF文庫からガガガまで多種多様なジャンルを内包したキメラとして発展してきた「ライトノベル」。そんな肥大化したキメラだからこそ「ライト」なノベルに収まりきらない突然変異も現れます。その極北こそ『円環少女』です。
この『円環少女』という作品は、4年前に完結でアニメ化もされていないため「知る人ぞ知る」止まりかもしれません。(いくつもの理由によりアニメ化困難ともいう)
けれども私の中では、人生で1000冊は読んできたライトノベルの中で『E.G.コンバット』に次ぐ2位につけているといえば、その凄さの片鱗はご理解いただけるでしょうか

本作は普段はラノベを読まない人や、24歳以上にこそ読んでいただきたい作品かな、と。
この24歳というのは、本作の主人公「武原仁」の年齢でして、年齢半分の少女に翻弄される懊悩や、年齢半分の少女に殺しをさせる凄絶な苦悩は、うちのブログの読者層にこそ刺さると思うんですよね。そう、貴方の事です。

 

魅力①:圧倒的な世界観

幾万の魔法世界で、ただひとつ魔法に見捨てられた世界。ここは地獄──誰もが奇蹟より、ありふれた現実に振り回される場所。

舞台は現代。なんの変哲もない、21世紀初頭の東京のお話。
しかし、この世界は唯一、魔法が存在し得ない『地獄』。 魔法は、この世界の人間に観測された瞬間に無効化され、魔法使いはただの人へと堕ちてしまう絶望の地。

そんな『地獄』へ、母の罪を背負って送り込まれた12歳の円環体系魔導士 鴉木メイゼルと、彼女を守る青年 武原仁の物語が本作です。

 

本作の作者は、最近ではSFへと軸足を移し、今年の日本SF大賞も授賞した長谷敏司先生。そんな長谷先生なので、世界観の骨太さはハードSFとしても重量級であり、シリーズを通して貫かれている信念も並々ならぬものとなってます
人はサクサク死ぬし、愛憎劇も深まるため、かなりヘビーなライトノベルと言えるでしょう。ぶっちゃけ、人によっては読みづらいと感じるかもしれません。

 

魅力②:メイゼル可愛い

鴉木メイゼルは、この年にしてすでに嗜虐趣味者である。人の泣き顔を見るとほっぺが落ちそうになる〝本物〟だから、痛みを胸キュンとよく勘違いする。

 

嗜虐的に瞳をとろかし、けれど初々しい乙女のようにぎゅっとスカートのすそを握り、メイゼルはつっかえつっかえ告白する。 「……あたしなら、せんせの抱えてるつらいこと、全部忘れられるくらい……ひどいことしたげられると思うんだけど! どうかしら?」

円環少女はハードSFばりの骨太作品なんですが、キャラものとしても一級品です。 何故なら、鴉木メイゼルがメインヒロインだから。読み進めるごとに、12歳(だけど書類上25歳)に虐げられたいと心の底から思えるでしょう。

安心していただきたい。本作は変態がたくさん出てきます。むしろ、変態しか出てきません。全裸とか、緊縛自傷とか、メイド服の少年萌えオッサン、ピンヒールの白いバニーガール……etc.
その中で「可愛い少女に虐げられたい」なんて、ノーマルと言っても過言ではありません。うん、書いてて自分でも何言ってるのかわからなくなってきました。読んでいただければわかってもらえるはずなんですが。

 

おわりに

当初、3000文字ほど論評書きまくってて「あれ、これって未読の人向けじゃない」と気付き、あらすじの説明すら放棄したのは内緒です。
だって、562円なんだもの。

普段、全13巻ともなると「まず1巻だけ読んでみて」となってしまうが、『円環少女』は設定盛り込み過ぎて1巻で心が折れかねない作品です。それが1巻分の価格で全巻揃っちゃうわけです。なんと布教のしやすいことでしょう!

いいから、とりあえず買っとけ。んで、気が向いたら読むんだ。

 

「せんせがいるから、この世界は地獄じゃないの」  降り続く雨の中、小さな刻印魔導師が、もう一度言った。 「せんせがいるから、この世界は地獄じゃないの」  涙に世界がうるんだ。一分後には心臓が止まっているかもしれないのだけれど、今この瞬間、ここにいてよかったと思った。

結局のところ、『地獄』で一人孤独に戦う少女と彼女を守る青年の、数多の世界と時間軸、そして60億の命を懸けたラブストーリーなんです。 是非最終巻まで読んで、この結論に共感してもらえれば幸いです。

 

【合本版】円環少女 全13巻<円環少女> (角川スニーカー文庫)[不明]

著者: 長谷 敏司

出版社: KADOKAWA / 角川書店

出版日: 2015-1-1

商品カテゴリー: Kindle