Kindleで本を売ってる身なので,Kindleに慣れてもらうためにも積極的にKindleで売ってるオススメ本を紹介していきたいとは思うのですが,難易度高いんですよ,かなり…….
だって,これって自分の読書家としてのセンスを測るに等しいわけじゃないですか. あまりにメジャーな作品出すのはプライドが許しませんし,かといって人にお金を払わせる以上は損したとは言わせられません.そんなこんなで取捨選択を繰り返していて,ミステリ編は未だに書けていません(言い訳)
さて,今日の選出テーマは『バトル』です. 以前,SF編やラノベ編をジャンル別に紹介を行いましたが,もう少し趣向をこらした基準で選んでみました.
秘剣こいわらい
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出版当初から「いいから黙って読め!」と周りにオススメしまくったものの,マガジンハウス刊の小説なので本屋でまともに置かれることもなくて涙を呑んだものでした. あれから6年.なんと今年になって講談社から文庫化されて,Kindleにもやってきているじゃないですか! これはオススメせざるをえない……というか,この一冊がKindle化されてるのに気付いたから選出テーマが「バトル」に決まったという傑作中の傑作です.
舞台は現代の京都.女子大生のメグルがバイトに用心棒を選んでしまうところから始まるエキサイティングなチャンバラ活劇です.出てくるキャラが片っ端から濃いのですが,それでいてくどさを全く感じない軽妙な文章にに筆力を感じます.
続編はあるものの,一冊で完結しているので気軽にお読み下さい.
ほたるの群れ
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"遠くから、かすかに合唱の歌声が聞こえていた。壁ひとつ隔てた向こうでは、何も変わらずに日常が続いている。そこでは赤色はただの風船の色だった。"
中学校という閉じた日常の中で繰り広げられる,4人の少年少女による血みどろの非日常を描いた学園物です.友人,刺客,家族,組織……彼らを取り巻くあらゆる者が敵となり,たたみかけるように襲いかかってきます.
パニッシュメントもそうでしたが,オイラは思春期の少年少女が取り巻く環境に追い込まれていくのが好みのようですね.本作は4人+αの一人称視点によるザッピングで進行していくのを上手く活かしてあり,感情移入もしやすくできています。
プロット段階で4冊完結(?)を前提に構成を組んであるため,息もつかせぬ展開で全編に渡って4人が翻弄されていき,比喩無しに読む手が止まりませんでした. 突っ込みどころ満載の設定や,やりすぎな終盤なども含めて,なかなかお目にかかれない熱量を持った作品です.
ちなみに,あとで……どころかさっき知ったのですが,創作側がかなり本腰入れて売ろうとしているプロジェクトなのですね.アニメPVまで作成している気合いの入り方が,自分のやりたい理想に近くてうらやましい限りです.幻冬舎サイトでは日常四コマもやってます(小説ネタばれあり)し,小説自体もまだまだ続きそうです.これだけやってれば,何かの拍子に大化けするんじゃないでしょうか?
Kindle版は戦略的に1巻目を100円,2巻目以降も300円前後に抑えてあるため,買いやすいのも魅力です.まずは1巻だけでも買ってください.きっと,すぐに4巻まで買う羽目になります.(笑)
疾走れ、撃て!
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あ,これに関しては完全に個人的趣味なので万人受けは期待していません(笑) 今開いたらもう3年も前ですが,『ガンパレとかマブラヴオルタを連想するロボットもの』というTogetterまとめが作成されました.いやー,もうこのタイトルだけで「わかってるじゃないか,同志よ!」と叫びたくなります.わかる方だけ読んで下さい.
わかりやすい基本要素としては,
- 未熟な若者や学兵が軍に放り込まれて成長していく
- ロボット(できれば兵器寄り)で戦う
- 敵は情け容赦のない異星人や未知の生命体
くらいでしょうか. これ系は,ガンパレとか,E.G.コンバット,マブラヴオルタ,ALL YOU NEED IS KILLなど,棺に入れて欲しいレベルで好きな作品ばかりです.一昨年の年間マイベストだったダイナミック・フィギュアも同系統と言えるかもしれません.
で,先ほどのまとめから全部拾って読んだ中の一つが,ハシレウテです. 見ての通り,@refeia挿絵なかわいいヒロイン2人との三角関係というラブコメスタートにもかかわらず,戦況と部隊の置かれた立場は過酷で,ソフトな方向にもハードな方向にも二倍楽しめます.アニメ化しねーかなー?
一刀流無想剣 斬
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本作で月村了衛作品は一つの完成を見ました.この作品が持つひりつくような緊迫感と,苛烈な展開を評する言葉を私は持ち得ません.あくまで娯楽作品なので本格的な時代物好きの人は怒りそうな一冊ですが,そのケレン味も含めて最高の一冊でした. 2012年度のマイベストは確実にこれなので,これ読んで楽しめない人とは仲良くできないと思います.(笑)