『AFURI』の商標騒動を掘り下げた1万文字

追記

afuri.com

ラーメン屋側の正式なアナウンスが来て、いろいろと新事実が出てきました。私が追加更新する余裕がないですが、当記事の主張が強化されただけなので、本文の「両者の言い分+α」のところでこれも読んでおいてください。

 

 

※当記事は長文になったため、吉川醸造株式会社を「酒造」、AFURI株式会社を「ラーメン屋」と敬称抜きで表記しています。

はじめに

今回の件、「老舗酒造へ、意識高い系ラーメン家が一方的に難癖付けた」という構図と思われたところから始まって炎上してますが、素人なりに今回の案件は一通り調べ終わっての私の結論としては「90:10のレベルで酒造側の方が問題」となったので、その辺を書いていったら1万文字になりました。

もちろんどちらが正しいとは一概に言えないからこそ係争になるわけですが、少なくとも現段階でラーメン屋側は一方的に非難されるべき立場ではないぞ、と。

私の立ち位置表明とか

ラーメン屋側の仲間か?とか思われるのも心外なので、私の立ち位置などを先に書いておきます。

  • カップラーメンを一度食べたくらいで、AFURIラーメンに思い入れとかもは全くないので、お気持ち擁護する気はありません
  • 研究開発やってる身でして、特許とか商標知識からは逃げられなくて知識淹れてるだけの素人
  • 可能な限り、客観的に評価できるように各種リンクは張り込んでいくつもり
  • 土日お出かけなので一気に書いたから読みづらいかも……

両者の言い分+α

まずは既存情報まとめましょう。以下の3つ読んでおけば十分でしょう。

kikkawa-jozo.com

news.yahoo.co.jp

www.facebook.com

 

ラーメン屋側の社長弁明コメントは、これはこれでお気持ち表明多すぎて冗長なので、私の方で要約させてもらうとこんな感じです。

  • AFURIブランドとしてラーメンに限らない様々なプロジェクトを走らせており、必要な範囲で商標を取ってる。商標もタダじゃないし、商標ゴロみたいなこともしたくないから無駄には取ってたりはしてない
  • 海外11店舗展開で、居酒屋スタイルの店の出店もしており、その中でAFURIラベルの日本酒なども提供している
  • 特に海外展開ではAFURIが全面に出てしまう以上、吉川醸造とは雨降の読み方を変える、タッグを組んで仕事するなどの複数の提案をして協議を重ねてきたのに平行線で終わった

では、これを踏まえて検証していきましょう。

両社の情報+α

吉川醸造

  • 1912年創業
  • 所在地は神奈川県伊勢原市神戸
  • 創業当初は味噌や醤油なども造っていたので社名が"醸造"とのこと
  • 2020年に不動産系などの多角経営やってるシマダグループに買収される

AFURI株式会社

  • 2001年創業。AFURIとしては2003年から。
  • オフィスとしては、神奈川県厚木市と、渋谷区恵比寿の2拠点
  • 創業自体は"ZUND-BAR"という店名で、今も阿夫利山(大山)の麓で本家として営業中
  • コンビニでカップラーメンが定期的に出るくらいには有名店
  • 国内16店舗に海外4店舗。ただ、別形態も含めると海外11店舗らしい?(未確認)

阿夫利山

  • 正式名称は『大山』
  • 通称として、『雨降山』が転じて『阿夫利山』と呼ばれるようになった
  • 住所的には神奈川県厚木市……と思ったら、厚木市、秦野市、伊勢原市に山頂で三分割されてて、下記神社は伊勢原市とのこと
  • 西側にヤビツ峠
  • 麓から山頂にかけて『大山阿夫利神社』の各社が点在
    大山阿夫利神社
    大山阿夫利神社

 

両社の距離は、ZUND-BARからだと車で15分、AFURIの厚木オフィスからだと車で20分で、阿夫利山に近い地場企業といっていいでしょう。少なくとも、土地に縁のない第三者が勝手に商標取ってた事例ではないかと。

 

追記 : 神社側の伊勢原市が一番地元意識が強いので、そもそも隣の厚木なラーメン屋への反発はある、と。なるほど(下部コメ欄参照)

創業場所ままだったら阿夫利山麓と言っていいとは思いますけど、その辺はさすがに理屈じゃないよな,と。

www.syohyo-jp.com

ラーメン屋の方は"阿夫利"を利用しているだけにしか感じられないとかいうお気持ち先行の意見も見掛けましたが、そもそもずっとロゴに阿夫利山の意匠を盛り込んでやってきていたり、大山阿夫利神社でもイベントで出張営業出していたりと、十分に地元企業として浸透しているように思えます。

 

 

j-platpat

ちなみに、私の認識がどこまで意味あるのか分かりませんが、家からは地平線に阿夫利山が見える程度の神奈川県藤沢市民だったことあるのに、阿夫利山の事は今回初めて知りました。山としてはその程度の知名度な気がします。ヤビツ峠をドライブしたことはあるんですが……

問題の切り分け

  1. 先願主義・先使用権
  2. 商標自体の妥当性
  3. "雨降"と"AFURI"が商標として類似か
  4. 地名を商標として取得し、その権利を行使する行為

今回の問題は大きく分けてこの4つと考えられるので、1つ1つ切り分けて考えましょう。

 

①先願主義と先使用権

もちろん、これが元で星の数ほどのトラブルが産まれているわけですが、日本がこの原則を採用しているのにも深い深い理由があるので、どういうものかだけ覚えておけば十分です。

  • 「(場合によっては無関係な第三者だろうと!)特許庁へ先に商標の手続き(出願)を始めた方が権利を持つ」(先願主義)
  • 「出願手続きの前から他の人がその商標を使用していた場合は、少し配慮してもらえる」(先使用権)
  • 肌感覚とは合わないものの、先使用権を持っていても、圧倒的に先願主義側の方が有利

つまり、日本のビジネスルールとして「自分のブランドに関してはちゃんと出願しないと守られないぞ」が基本中の基本です。その前提で、今回の件の時系列を見ていきましょう。

 

吉川醸造が老舗酒造って事で初手から勘違いされてそうですが、吉川醸造が2020年にシマダグループという不動産系の多角経営企業に買収されてそちら側から社員の方が一部移っており、2021年に『雨降(AFURI)』という新ブランドを立てたという流れです。古くからある銘柄を使うな!と言われたわけではありません。

雨降立ち上げ時のPRTimesの記載などからも読み取れますが、買収元であるシマダグループによるリブランディング戦略と思われます。これ自体は別に悪くないんですが、この時点で商標の読みが被ったブランド立ち上げてる時点でかなりのダークグレーなんですよね。すべては、この時点で酒造側が商標をちゃんと調べず、危険な橋を渡ったが故の騒動だと思います。

あと、『雨降(AFURI)』は「最初から海外向けを意識した売り方」であり、「銘柄ではなくブランドそのものとして売ろうとしている」、「AFURIのアルファベット表記もセット」なのも、競合メーカーとしてのラーメン屋側は無視できなかった部分と思います。

shimadahouse.co.jp

prtimes.jp

 

時期 実施企業 出来事
2010年3月 『AFURI』の商標出願(商願2010-022280)
2019年4月 『AFURI』で酒を含む区分の追加出願(商願2019-058625)
2021年1月 『雨降』の商標出願(商願2021-009325)| 
2021年4月 新ブランド『雨降(AFURI)』を発表
2022年8月 『雨降』の無効審判を請求。2023年8月現在『雨降』のステータスは「存続-登録-取消/無効審判中」
2023年3月6日 『AFURI\アフリ』で別の商標として再出願(商願2023-23182)
2023年3月14日 『§雨降∞AFURI』で出願(商願2023-32269)
2023年5月 2019年出願分の『AFURI』に対し無効審判を請求。2023年8月現在『AFURI』のステータスは「存続-登録-継続」

整理すると、すべてにおいて酒造側が後手後手であり、酒造側が「我々が先だった」と言える余地についてはほぼ無さそうです。後述しますが、2023年3月の両社の動きは熱いですね。
また、少なくとも酒造側は2023年時点で弁護士を動かせているということは、自サイトでのアナウンスは「小さな酒蔵が、ある日突然理不尽な要求突きつけられて法的にどうしていいかわからずに出した」パターンなどではなさそうです。

(なお、無効審判担当した弁護士Aさんがシマダグループ本体の案件取り扱ってる方なのか調べようとしましたが、調べ方が分かりませんでした……。不動産案件扱ってる強い方を紹介されたりしてないかな、と)

 

この項をまとめるとすると、先願・先使用それぞれで酒造側が権利主張するのは厳しそうです。

 

②商標自体の妥当性

ラーメン屋が酒類の区分で商標出しているのはどうなんだという話は当然あると思います。それについては、本日出たラーメン屋側の社長コメントにより、海外で居酒屋スタイルも含めて11店も出店やってて、そちらではAFURIラベルの日本酒提供しているとのことでした。

確認すると、確かに2018年時点で海の向こうにてカップ酒をデザインしている記事が出てきます。同じ飲食系だし、この記事の翌年2019年に酒類として商標を抑えていたのは不自然ではないと思います。

併せて、これを探すために"AFURI sake"でGoogle画像検索すると、雨降が並ぶ中にこのカップ酒が差し込まれているような状態だったので、海外重視しているラーメン屋側としては無視はしづらい状況だな、とも。

thedieline.com

ただ、ラーメン屋側の穴として、このカップ酒自身は海外の話ではあるので、不使用取消審判の争点としては酒造側にも芽がありそうです。不使用取消審判というのは、3年以上使用されていない商標は、他の人が請求して取り消すことができる仕組みです。おそらく、2023年5月に酒造側が区分の判定おかしいだろ!と訴えている部分がそれなんじゃないかなぁと。今のところ審判の状況がどうなってるかはわかりません。
このカップ酒、酒の中身自体は青森のお酒らしく、ラベル製作やパッケージングまでは日本側でやってるでしょうけど、国内では売ってないようです。その場合の不使用の判断はどうなるんですかね。さすがにわからん。

さらに難しいのが、2023年3月にラーメン屋側がほぼ同一のロゴにカタカナを併記した形での『AFURI\アフリ』商標を酒の区分で被せてきてるんですよね。これについては、時系列的にも完全に吉川酒造を狙い撃ちしてきています。これは、商標のルール上は問題ないけど、かなりダーティーだな、と。ここについては後でも触れます。

他にも、AFURIハイボールというメニューを国内で提供してますし、商標登録傾向眺めてるとホップ絡みとかも押さえているので、クラフトビールを作ろうとしているという社長コメントも含めると、酒類に力入れて商標取っているのは、むしろちゃんとしてるなって印象です。

 

ちなみに話は逸れますが、ラーメン屋側は「医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生及び美容並びに農業、園芸又は林業に係る役務に関する区分」の44類でも「AFURI」の商標取ってるんですよね。(商願2022-117162)

そういわれてもわからないかもですが、商標の網羅状況を鑑みると、サウナ、あるいは温泉施設を設置し、酒やラーメンも提供する総合娯楽施設にするつもりなんじゃないかな、と。こういうのが透けて見えるの、知財のおもしろいところだと思います。

 

というわけで、この項のまとめとしては、ラーメン屋が事業拡張の一環として酒類の区分でAFURIの商標抑えている事自体は総合的に妥当だけど、それが酒造側の訴えで取り消される可能性は無くはないかな、と。

 

③"雨降"と"AFURI"が商標として類似か

商標の類似性を理解するためには、「称呼」(呼び方)に触れなければなりません。商標の類似性にはいくつかの観点があるんですが、その中でも重要視されるのが称呼なんです。表記の漢字などは違っていても、口に出した時の音が近いというのは商標的には似てるからダメ!と判断されやすいというわけです。

今回の件だと、『雨降』を「アフリ」と読ませるのはもちろんアウトですが「アフル」でもほぼ却下されると思います。「アメフリ」だと音数増えてるのでどちらとも言えないラインでしょうか。
そもそも商標で係争が始まるとその時点で誰も得しないんだから、そういうギリギリ攻めてる奴はその時点で商業的にはヤバいし、そういう意味で酒造側が新ブランド立ち上げ時にちゃんと商標について考えていない時点で、私としては狂気の沙汰に思えるわけです。

これは『雨降』の商標登録データですが、称呼部分はこうなってます。この「参考称呼」(と呼ばれてるけど正式名称知らん)自体は、データ登録時に特許庁側が暫定的に付ける呼び方なので申請側としては何の意味もないんですが、逆説的に言うと漢字ロゴだけの登録だとこれくらいは読みの解釈幅は持たせられるわけです。おそらくラーメン屋の中村社長もこの登録を踏まえた上で

例えば、「雨降」と書いて、「UKOU」と読ませるのはいかがですかと。そうすれば、阿夫利山は、元々は「雨降り山」から転じていると我々と同じルーツである事を伝えられるし、海外のAFURIの店舗でも吉川醸造さんの日本酒を同じ水源の仕込み水を使っている同郷の日本酒として全面的に推せますし。

と提案したんだと思います。(中村社長は司法書士目指してたらしいので、この辺の下調べはちゃんとしてそう、という憶測です。今回の件の裏付け調査中は、そんなどうでもいい情報に詳しくなるばかり……)

一方で、称呼がごまかしようもなく「アフリ」として固まってしまうと、称呼=読み方の被りは相当な強力な理由が無い限りは商標の審査は即却下です。ただ、『雨降』のロゴだけでいうとパッと見で受ける印象が違うので、非類似と判断される可能性も十分にありますし。


なのに酒造側は、称呼を譲らないばかりか、2023年3月14日に『§雨降∞AFURI』というようにアルファベットを併記した他のロゴまで追加申請してるんですもん。この、所謂"二段併記"のデメリットについて詳しくは各自ググってもらうとして、こうすると称呼上で別解釈の余地が無くなる&他社からは商標回避しやすくなるんで、デメリットが大きくて普通は避けます。

よって、商標知ってる人間にとっては、係争受けてるタイミングでの二段併記ロゴでの追加出願は「正気か!?」となる事例です。ってか、弁理士止めろよ!

これについては、元をたどると2021年出願の『雨降』の時点でAFURIを併記していないのに、製品側のラベルにはAFURIを加えてしまっていて、整合性を取るためにやむなく取ったのかもしれませんが……

この場合、二段併記の後者が通る可能性は低いと思うんですが、漢字のみの前者の無効審判結果に影響ってどのくらい出るんですかね?

 

さて、この視点を持って、ラーメン屋が2023年3月6日にぶつけてきた商標(商願2023-023182)を見てみましょう。そう、アフリという読み方を固定した二段併記ロゴをあえてぶつけているんです。

本当に狙ってやってるの?と思う方もいるかもしれませんが、二段併記しないロゴをビールのみの区分で同日に出願してるんです。(商願2023-023181)

いやー、アフリという称呼を固めるために、だいぶエグい戦略組んでますね……まあ、邪推かもしれませんが。

 

最後にさらなる場外乱闘をお見せしましょう。互いに複数の出願をした2023年3月の6日と14日に、ひらがなの『あふり』を区分33類、つまり酒類のみで被せあいしてるんですねぇ。互いの知財で「ここはひらがなも抑えなきゃ!」という読みが一致してます。両方ともまだ審査中ですが、この結果がどうなるのか、定期的に監視しておこうと思います。
それにしても、せめてこの両者の日付が逆だったらもう少し酒造側にも手札が増えたかもしれません。先願主義なルールの中の1週間の差がなんと大きいことでしょうか。

 

この項をまとめると、『雨降』は「アフリ」という称呼だと酒造側が譲らない場合、ラーメン屋側のAFURI商標が生きてる限りは類似商標と見なされる可能性が高そうです。

 

おまけ①

今回の件でラーメン屋側を「商標ゴロ」と呼んでいるのを多く見かけましたが、そういう安易なレッテル貼りを止める方法、無いんでしょうかね。

一時期のK○NAMIみたいに、ちょっとでも関係しそうな商標は手当たり次第に取ってた、みたいな事例なら社会通念上非難されてもしょうがないと思いますが、自社名そのものになってる商標に対し、戦略的かつ網羅的に商標を取得し、ときには行使するのは圧倒的に正しい行動です。

そういう正当な権利の行使に対し、ここまで書いたような背景があると想像もせずにレッテル貼るようなSNS文化はなんとかならなんかなぁ、と。

おまけ②

文書の大意としては、”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした。

これにつき、双方弁護士を交えた協議を重ねて参りましたが、最終的に不調に終わったことから、AFURI社は、当社商標の使用差止や損害賠償等を求めて東京地方裁判所に提訴しました。

こちらは、酒造側が最初に出したアナウンスの一部です。これに対し、「酒を捨てろとは飲食屋が何事だ」という感情的な反応も多く見かけました。

これ自体は酒造側視点による要約なのでその時点でニュアンス変わってそうですが、逆の立場になって考えると、法的に自身の権利侵害していると判断しているものを「今ある分は売っていいよ♪」とはならんでしょ、普通。

その他の部分も全体的に抽象的、かつ自分に不都合な部分はすべて隠している文章になってます。意図的にやってるとすると、その鋭さをもっと手前で発揮してほしかったな、と……

おわりに

諸事情で、4項目目に触れる前に、先におわりの言葉を挟ませていただきます。
なんで自分には関係の無いネットの騒動に顔突っ込むような記事を書いたのかというと、「法的にも立場的にも正当性のあるラーメン屋側が、酒造側による先出しの一方的な被害者ムーブのアナウンスによりお気持ち優先でぶっ叩かれてる現状は、処理水放出で科学的エビデンス無視して騒がれている福島県と似たようなものでは?」と感じたからです。

いや、もちろんB to Cの場合は顧客視点でどう世間に受け取られるのかを考えていかなきゃいけないとは思いますが、一方で企業として厳格に動くべきタイミングというのもあります。
そんな複雑な世の中で、先行した被害者アナウンスを鵜吞みにして上げた拳を下せず、複雑な背景があるという事を受け入れられない方を多く見かけました。即応性が命なSNSが大きなパワーを持った現代の弊害ですね。

だからこそ、こういう風にしっかり掘り下げていく暇人な外野だっていいじゃないか、と。その方が世の中、良い方に動きますって。(私のお気持ち表明)

 

④地名を商標として取得し、その権利を行使する行為

さあ、なんでこれを最後に回したかというと、企業法務やってる私の友人がSNS上でしてくれた解説以上のことを書ける気がしないので、そのまま転載して締めたかったからです。

なお、あくまで身内共有用でざっくり書かれたもののコピペなので、本人曰く

使ってもらうのは全然かまわないのだけど、あんまイケてる内容でもないし、もっと本職のヒトが見た時に耐えられるような内容にはなってないかもだから、なんかツッコまれたりはするかもw

砕いた言い方にしてニュアンス変わってたり、原産地誤認(4条1項16号)とか他の論点は端折って書いてたりするので。それでもよければ(/ω・\)

だそうです。

さて、ある意味ここからが本編です。この観点は素人の俺には書けないもん。

「商標」は商品・役務の名前。名前って何のためにあるかって、「個体の区別をつけるため」。だから、逆説的に「個体の区別がつかない」名前は「そんなの商標じゃない!」って商標法は独占権を与えることを許さない。そうすると、「地名だから即ダメ」ってことじゃなくて、「その名前が使われる商品、サービスにおいて、お客さんが商品の産地・販売地、サービスの提供場所を単に意味してると思うなら、そんな名前はそもそも商標として機能しないから商標権認めない」って理屈になる。たとえば、小岩で販売されるまんじゅうに「小岩まんじゅう」って名前を付けても、他の小岩で販売されるまんじゅうとは区別がつかないってことになるから、まんじゅうに「小岩まんじゅう」って名前を付けることに独占権は与えられないよね、って理屈になる。
そんなわけで、そんな立法趣旨を踏まえて特許庁の審査基準においても、『(1) 商標が、国内外の地理的名称(省略)からなる場合、取引者又は需要者が、その地理的名称の表示する土地において、指定商品が生産され若しくは販売され又は指定役務が提供されているであろうと一般に認識するときは、商品の「産地」若しくは「販売地」又は役務の「提供の場所」に該当すると判断する』、『(2) 商標が、国家名、その他著名な国内外の地理的名称からなる場合は、商品の「産地」若しくは「販売地」又は役務の「提供の場所」に該当すると判断する』と定められている。
そうすると、もっとも最初に立ち返って、ラーメン屋さんが「AFURI」を飲食物の提供(飲食店)ってサービスに商標登録したのは2010年なんだけど、その当時において飲食物の提供というサービスに「AFURI」って名前をつけることが、飲食店のごくごく平均的な利用者(お客さん)に、「単にサービスの提供地を名前にしただけじゃん」って思われることになる?って話。そして、それが認められた後に、2019年当時にお酒って商品に「AFURI」って名前をつけることはどう?って話。
もちろん、特許庁の審査官だってヒトの子だから、気付かずに登録査定しちゃったってことはありうる。それなら、登録過誤による無効を訴えて商標登録を無効にすればいいって話で、それしてる?してるならできる?って話。
言い換えれば、2010年当時・2019年当時に飲食店や酒の名前に「AFURI」って付けたらそれは産地・販売地表示だろってお客さんが思うだろうって認定するに足る客観的事実があったってことをロジックと証拠で示せる?示せるなら、特許庁の審査があかんかったってことになるし、示せないなら特許庁の審査に過誤はなかったってことになる。そして、商標権は登録されている以上、絶対的な「独占権」を発揮するから、その状態で同じ名前で被せて来る方が迂闊やし阿呆やろ、って見方だってできるって話。
仮に結果論的に今時点の認識として、『「アフリ(阿夫利)」って地名だよね』って通念があったとしたって、商標登録された2010年当時や2019年当時はそうじゃなかったかもしれない。その当時に地名だなんてことはさっぱり知られてなかったかもしれん。そうだとしたら、「アフリ」は地名なんだってことを知らしめて今現在の通念を形成せしめたのは、ラーメン屋さんの営業努力の賜物だってことも言えるかもしれない。だったら、ラーメン屋さんのその営業努力だって保護に値するって言えるんじゃないの?って話で。「AFURI」って名前で長年営業して、その看板にお客さんの信頼と期待を蓄積してきたんでしょう?お金使って労力払って汗水垂らして信用(ブランド)を成したんでしょう?なら、そっちの努力だって保護すべきだって。そういう価値判断だってできない?って。それって、「地名なんだからみんなが利用できるようにすべき」ってことと同じように、保護に値することなんじゃないの?じゃあ、両者を天秤に乗せた時、どっちを傾けるんだい?って。どっちに分があるって認めるんだい!?って話で。重要なのは、この国は自由競争主義の社会だから、『「自分」がこの先、どっちの立場にもなり得る』ってことで。じゃあ、自分だったらどっちの立場に立ったときは何をどう主張して、この現実で自分の理想として追い求めることを勝ち取っていくんだい?ってことで。そうやって考えてくと、法律ってたまらなくシビレるだろう? シビレない?オレはシビレる!+(0゚・∀・) +

私的要約

友人には失礼な気もするが、長文のロジックが頭に入ってこないって人もいるかもしれないので、私自身の理解を踏まえた要約も付記しておきます。

 

基本的に地名は商標として認めないという基準の元、『AFURI』が2010年時点で商標と認められているという事は、少なくとも特許庁は『AFURI』と聞いて『大山』なんてマイナーな山の、さらにその通称である『阿夫利山』という地名だと客がすぐに認識する状態にはないレベルの知名度だと判断したわけだ。

もちろんその特許庁の判断が間違っているかもしれないけど、それに対して異議申し立てするシステムはあるわけだし、その判断が間違っていたって証拠を誰も揃えられてない以上、「商標権」という強固な権利はAFURI株式会社のものであり、その権利は保証されるべき。

また、逆に2023年の我々は商標トラブルになるくらいに有名な地名として「AFURIと聞いたら阿夫利山が浮かぶ」状態なのだとしたら、「元は地元民しか知らないような名前を、ブランドとして高めたその貢献は評価すべき」という観点は、「地名なんだからみんなが利用すべき」という観点と同じように保護に値するって考えもありじゃないの?と。

もちろんこれは一つの考え方であり、そういう様々な理想が絡み合った中で、自分の理想を勝ち取るためのツールの「法律」ってシビれない?

シビれる!!!!!!

おもろ!!!!!