悩みに悩んでオススメする角川セール対象一般小説5選

期限があって、テーマも明確だと書きやすいということで、セールだからこそオススメしやすい小説紹介ですね。 はてブでチラチラ流れてきてたので、その流れに乗ります。

 

何度も言ってるように、読書家の端くれとしてはメジャーな作品は挙げにくいが、オススメするからには万人向けが望ましいという相反する部分に悶えて毎回悩む奴です。
自分で言うのもなんですが、今回は俺っぽさがにじみ出た良い感じの選出になったのではないでしょうか。

今回は29日まで角川60%OFFらしいのですが、過去の角川セールで欲しいものはある程度拾ってしまってたので、ハードカバーが文庫価格くらいで買えるって作品が多めです。

 

クローバー・リーフをもう一杯 

今年度どころか人生でも5本の指に入るミステリ「河原町ルヴォワール」を著した円居挽先生。(参照:当時のテンション上がりすぎな布教記事
しかしながら、新作でもなかなかの快作を送り込んできてくださいました。

 

円居挽先生と言えば、京大ミステリ研OBということで舞台は変わらず京都……しかも京大です。 
構内に出没する神出鬼没のバー。 そこの女マスター「蒼馬美希」はカクテルのお題代わりに謎を要求する――。

洒脱なキャラクターと美しい論理はそのままに、サクッと読めてしまう(勿体ない!)上質の一冊です。
ルヴォワールシリーズと比較するとキャラのアクの強さには劣りますが、それでも魅力は薄れません。良い。良い。あーーー、良い。

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聖者が殺しにやってくる

隠れキリシタンの末裔がお屋敷に会し、見立て殺人が始まる――完全に大好物な奴じゃないですか!!!!

この作品は、この設定に萌えるかどうかの一点です。

 

去年のセールで108冊買った中から唯一の選出です。  当時はセールに浮かれて1-Click連打により紛れ込んでいたというアレな買い方でしたが、こういう紛れで当たりに出会えるの、読書家冥利に尽きますね。

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東京皇帝☆北条恋歌

この物語は、東京帝国に住む平凡な一少年、西園寺一斗が東京皇帝に即位するまでを綴った物である。

文字通り、平凡な高校生「西園寺一斗」が皇帝に即位するまでのライトノベルシリーズなのですが、1巻冒頭の一文に秘められた重みがここまでのものとは誰が想像していたでしょうか。

 

恐らくラノベ読み慣れている人ですら、1巻読んだ限りでは眉をひそめるくらいに軽い小説です。 しかし布石を打ち続けての8巻の展開が神すぎて、全13巻を3000円で買えちゃう今回のセールだからこそオススメしておくべきではないかという考えによる選出です。 なお、俺は8巻で震えて泣きましたし、13巻読了時には達成感で放心しました。

 

本作の魅力は、なんといってもSF要素の凄まじさですね。 どう見てもMF文庫的アレなラノベのくせして、踏み込んでいる領域は星雲賞受賞と言われてもおかしくありません。
時間SFという枠組みの中で、ここまで壮大かつ重厚長大な作品は数えるほどしかないんじゃないでしょうか。 (まあ、壮大ならそれでいいのか?って作品でもありますが……)
敢えて無理やり名前を挙げるならマブラヴですけど、竹井10日の活躍時期を考えると本作の下地はマブラヴですよね、これ(笑)

過去あり、月面あり、幻想世界ありというテンコ盛りの全13巻。 これを読破するには覚悟が要りますし、普通の人は投げ出すでしょうが、この紹介にアンテナがビビっと反応した人だけは読んでみるといいと思います。

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その孤島の名は、虚

ずっと言い続けている通り、メフィスト賞作家 古野まほろ先生は神、いわゆるゴッドなわけですが、クセが強すぎてオススメしづらい!!!!

しかしながら、最新作である本作は独立した作品であり、比較的読みやすく、それでもまほろワールドが体感できるというとても布教向けな逸品です。 いいから、読むのです。

 

内容としては「数学」+「吹奏楽」+「漂流教室」といったところでしょうか。 異世界に部室ごと飛ばされた吹奏楽部の女子高生20人が、世界に翻弄されるサバイバルミステリです。(ホントか?)

ファンタジーなのに数学に支配された世界観はガッチガチに論理的であり、着地点も見えず、それでも猛烈におもしろい。 娯楽小説とはかくあるべきです。 最高。

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ΑΩ ―アルファ・オメガ―

主人公の「諸星隼人」は飛行機事故により死亡する。だが、地球に飛来したプラズマ生命体「ガ」により腕一本から復元された諸星は、「ガ」との共生生活から始まる凄絶な闘いへと巻き込まれていく――そう、ウルトラマンの現実的な再解釈によるオマージュ作品なんですね。これぞ日本SF。

 

この作品、3年前書いた国内SF入門作品10選記事で紹介したのですが、すでに絶版だったので入門記事としてどうなのさ?という問題をはらんでいた作品です。 けれども、 そんな問題は気にする必要なくなりました。 そう、電子化による復刊(?)が為されているのです。

本作に限らず、たくさんの小林泰三作品が権利関係解消が難しい表紙のみを差し替えて電子化されております。 マイナージャンルだと電子化までの道筋が遠いという難点はありますが、一旦されてしまえば不人気が理由による在庫切れや絶版から切り離されるのは電子書籍に求める大きなメリットの実現ですよね。

あ、ちなみに超絶グロなので、お気をつけて。

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おわりに

セール外ですが、「紅」の6年ぶりの新刊を読了してしまい、戸惑いまくっております。 コミック版が見事な補完で満足していたのですが、やはり原作は原作で読みたいし、どうにもかなり先が長そうな終わり方でしたし、何よりも悔しいけど待っててよかったと思わされました。 さーて、次は何年待たされることやら。 E.G.コンバットFinal、まだー?

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