Kindleらしさ溢れるキーワード機能「X-Ray」の新しさを語ってみる

きんどうさんとこの寄稿ラノベ記事にてX-Ray対応が特筆すべき事みたいに書いてあったのですが、X-Ray機能は結構対応しているぞい(たとえば、例の四天王は4作とも対応済み)……と感じた際に、以前X-Rayの紹介記事書きかけてたのを思い出しました。

1月6日に棺姫のチャイカ 1巻へX-Rayが来ているのに気付いて以降、何度かX-Ray紹介記事書きかけては頓挫した残滓が今日の記事です。そのおかげで、昨日のセール内オススメ小説紹介に引き続き、2日連続更新や。

 

X-Rayとは?

さて、まず前提として『X-Ray』機能って何ぞや?という事も知られていないでしょうから解説いたします。

 

先月、Amazon Kindle、書籍内の登場人物など主要情報をピックアップする「X-Ray」 という記事が舞い込んできました。なにやら、Kindleが独自に書籍のキーワード機能を搭載したそうなのです。言ってることがわかるようなわからんような……。対応作品の場合、Amazonのサイト上でX-Rayが有効だと表記されています。

さて、そんなX-Ray対応作品を実際に読んでみると「あれ、これって電子書籍らしさを体現してね?」と感じました。それがどのようなものかは百聞は一見に如かずなので、どんどん並べていきますね。

 

人物編

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最初は「【全巻セット】スレイヤーズ」です。合本版でキャラ単位の言及回数ですので、圧巻の一言。興味深いのは、スレイヤーズだとリナの一人称なのでリナ関連への言及回数順位が低い点です(笑) 一方、出ずっぱりのガウリイは圧倒的1位で愛されてますなぁ。 300ページ×15巻としても、平均すると見開きに1回はガウリイが出てきているという計算でしょうか。

なお、X-Ray機能はプログラムによる自動解析で全く人の手は入っていないようですが、かなりのレベルで呼称のブレや相性なども同一人物として判定しており、ラノベでも高確率にキャラを認識できています。

 

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次にわかりやすい例として、歴史系ですね。

こちらは言わずと知れた塩野七生先生の名著「ローマ人の物語 VI」です。なにせローマの栄枯盛衰を15巻に渡って綴った作品ですから、出てくるのが片っ端からWikipediaクラス(?)の登場人物たちでX-Ray機能も非常に充実しています。だが、ある意味完全にネタバレなので要注意!

 

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例その3はKDP作品の「魔女の旅々」です。ご覧のとおり、KDPでもきちんと発動しています。技術オタクとしては、これを活用して何かゲームブック的なものを作れないかと考えたりもしましたが、完全にアルゴリズム生成なので誘導が難しいですね……。

ちなみにX-Ray関係ありませんが、本作は表紙がきっちり作り込まれて思わずポチってしまった作品です。表紙買い、素晴らしいじゃないですか。中身は可も不可もなく(をい

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トピック編

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こちらは2014年のSF話題作「火星の人」ですが、火星にある「アキダリア平原」の情報などが補完されています。その他にも、一般的な科学・宇宙関連用語などもカバーされるため、SFとは相性がよさそうです。

 

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もう1つ紹介するのが貴志祐介「新世界より」です。 本作の舞台は茨城県周辺なんですが、地名の補記になってて土地勘がない人の手助けになります。
ノベルス時代の読了当時、「霞ヶ浦筑波山の距離感がわかんねーよ」と思いながら読んでいましたし、何よりもX-Ray機能を調べていて、初めて「神栖」が実在する市だと知りましたから(笑)

このように、幅広い要素をカバーしてあると、読書の良い助けになってくれるのではないでしょうか。

 

 

画像編

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こちらの機能は画像のみを抽出して表示してくれます。 これに関しては現時点では活用範囲が未知数です。 現時点のわかりやすい用途として、ラノベで挿絵だけ抽出するスライドショーとして使えます。

例として、同じく貴志祐介「硝子のハンマー」です。このように作中に館内見取り図のあるミステリなどでは遡って見直すのに便利かもしれません。こちらも、ネタバレという地雷を踏む可能性がぬぐえないので、危険と言えば危険です。

 

おわりに

実際のところ、これらを活かして専用に本を執筆される事は無いでしょうからおまけ機能の域を止まざるを得ませんが、配信側がプログラムで解析して情報埋め込むってのは電子書籍らしい(特に形態素解析に長けていそうなAmazonらしい)アプローチなので、新鮮味を感じます。

せっかくのデジタルデータなんですから、紙の代替というだけでなく、新たなメディアとしての模索が進んでいっていただきたいものです。その第一歩としてのX-Rayだと捉えると、数年後が楽しみです。

 

 

おまけ

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この件に触れている人をまだ見た事ありませんが、どちらかというと最近発動した機能「シリーズ物が簡単に買える奴」の方がヤバいです。

従来、シリーズ物という概念が見受けられなかったKindleですが、いつもの読了後誘導のみならず、読了間際になったらメニュー側からサクッと買えちゃうようになりました。 浪費が捗りますね!!!!