自分は伊集院光 深夜の馬鹿力のヘビーリスナーです。もうかれこれ15年以上欠かさず聞いています。そんな深夜の馬鹿力で、一番わからないのが野球の話なのです。
伊集院さんは試合だけでなく、練習の魅力も頻繁に語ります。
沖縄まで行って2軍キャンプの練習を一日中ボーッと見ていたり、練習場借りきって淡々とノックしていたり、全国各地のバッティングセンターを巡ったりという話をするたびに、そのおもしろさにピンとこない事にものすごく損をした気になります。
しかし、そんな野球練習の魅力の片鱗を感じられるゲームが登場しました。それが3DSの「だるめしスポーツ店」です。
このゲーム、無料でミニゲームを追加購入していく部分や、その購入をゲーム内で値切ったら実際に値下がりする仕様がおもしろいモデルなので、そちらにばかり目がいくかもしれません。
情けなくも憎めないスポーツ店のおっさんが繰り広げるストーリーもよくできています。けれども、このゲームの魅力はそんなわかりやすいところにはありません。
では何が魅力かというと、ミニゲームでやれる野球の練習が限りなく「気持ちいい」んです。
ミニゲーム名も「打つ快感!」、「守る快感!」となっていますが、おそらくこの快感こそ、伊集院さんを魅了しているものなんでしょう。
打つ快感!
では、最初に出来る「トスバッティング」を例に見ていきましょう。
まず何よりも「トスバッティング」というのがいいじゃないですか。
普通,同じ打撃ゲーなら、ホームラン合戦的なゲームを作るでしょう。実際、ミニゲームの中にはバッティングセンターのものもあるのですが、それよりもトスバッティングの方がおもしろいんです。
- トスを出すタイミングや、トスの高さのブレの人間くささ
- ラグ無く、芯に入ったと感じるタイミング通りにボールが飛ぶ調整
- 打球音や、背景のリアルな環境音
- 上下の打ち分けの難しさ
などが多角的に絡み合って、ボールを投げてもらって打つだけというシンプルな中に奥深さと快感が生まれています。
これは0円の体験版領域である程度遊べるので、ぜひやっていただきたいです。むしろ、購入するとルールが変則的になっていって魅力の本質がブレてくるほどです。こればかりはやってもらわないとわからないし、やればわかってもらえるはずです。
審判の快感!
他には守備のミニゲームも揃っています。ライナー処理でグローブが「パーン」となるのが気持ちいい。果ては、野球道具のメンテなんてものもあります。まだ買っていませんが、これにまで期待させられています。
その中で一番気に入っているのが、審判のミニゲームです。
基本的には、ストライクとボールを判定するだけです。それの何が楽しいのだ?と自分で書いていて思います。しかし、カウント数を数え始めるとまったく違う顔を見せてくるんですね。
普段、プロ野球の球場観戦だろうが、高校野球の中継だろうが、ストライクとボールのカウント数が表示されている環境でしか野球を観る機会がありません。けれども、そこに頼れない審判が苦労している部分を肌で感じられたのです。
「あれ、今のチップは2ストライクだからノーカンだっけ?」みたいな事を瞬時で判断する難しさとおもしろさは、こんなゲームをやらなきゃ永久に知らなかったはずです。
審判の体験版はミニゲームを3つほど買うと遊べるようになります。これを体験する頃には、もう戻れないところまできているでしょう。
おわりに
Aボタン1つだったり、アナログスティックのみだったりする操作体系なので、似たようなゲームをスマートフォンのアプリで出す事は充分に可能だと思うし、既にあるかもしれません。しかし、この「気持ちよさ」を体現することは、任天堂だからこそ出来た繊細な仕事なんだと思います。(制作会社書いてないけど、内製なのかな?)
エフェクトを派手にしたり、よく跳ぶバットを入手したりというような、ゲームとして考えられる要素はあえて省いて、野球の練習という地味な作業のおもしろさを掘り下げる企画によくGOサインが出たものです。
とにかく、0円でトスバッティングの快感を知るところからやってください。
こういう「そんなの何がおもしろいの?」というゲームをやってみたらおもしろい事こそ、ゲーマー冥利に尽きるじゃないですか!