注:構成とテンションの都合上,両対局者にものすごく失礼な事書きまくってる上,無駄に長くなっていますが,ここまで舞台が整った上に震えるような大熱戦になる事なんて年に一度あるかないか(ちなみに去年だと王座戦最終局でしたね)なので,ご了承ください.
さて,唐突ですが基本設定です.
- 藤井猛九段
- 羽生さんと生年月日が2日違いという,羽生世代を代表する41歳.
戦法レベルで新しい構想を打ち出してくる序盤の緻密さの一方,『終盤のファンタジスタ』と称される最後の最後で逆転を喰らうドキドキを兼ね備えて僕らの心を離さない,自虐おとぼけキャラ.
最高位である竜王3期を境に,10年以上タイトルから遠ざかっている上,プロ棋士の番付とも言える順位戦を2年連続で降級を食らったばかりのどん底状態. - 渡辺明竜王
- 20代にしてプロ棋士全体の序列最高位に位置し,指した手が定跡となる事を常に目指す王道の中の王道の棋風.その王者の風格をまとった強気の指し回しは,羽生世代を跳ね返し続けている.
すでに竜王と王座の2冠を手にしており,自身最多の3冠目へ王手をかけている状態.
先日もお伝えしましたが,こんな感じの2人により,王位のタイトルを所持する羽生二冠への挑戦権をかけた一発勝負の決定戦が5月30日に行われました.若き帝王へ果敢に挑む落ち目のベテランといった構図です.
将棋ファンの誰しもが「藤井先生頑張れ!!!!・・・・・・でも,渡辺竜王勝つんだろうな」と思っていた事でしょう.
そんな王位戦挑戦者決定戦を,リアルタイムの雰囲気を伝えてくれる2chスレの流れとともに追っていきます.棋譜はこちら
振り駒の結果,藤井九段は受け身に回りやすい後手.
127:名無し名人:2012/05/30(水) 09:58:14.76 id:seCTe25h
※この振り駒が敗着と言うのだから将棋は難しい。これ以降後手に良くなる手順は見つからなかった。
さっそくひどいwwwwwwww
さて,まず藤井先生最大の見所である序盤でどういう戦法を選んでくるかに注目が集まりましたが,魅せてくれます.自身の名を冠した後手番藤井システムです!!!
一世を風靡するものの,対策が進みすぎて自身で”ファーム落ち”として封印していた藤井システム.それを,挑戦者決定戦進出を決めるリーグ戦最終局に続けて,ここ大一番で連採ですよ.
576:名無し名人:2012/05/30(水) 10:09:02.80 id:qEi8WTEH
この大舞台でシステムが見られるとは生きててよかった
中盤以降は堅実に場を収めてくる渡辺竜王.玉の薄い後手は角切りからの無理攻めを強いられ,がっちりと飛車成りを受けられた段階で先手優勢へ.
923:名無し名人:2012/05/30(水) 18:22:44.37 id:Yz7GSnt7
がっちり受けても攻め無しですか
完敗だな
しかしここで,藤井先生らしくない一流棋士らしい優雅な手が炸裂.攻めている手番ながら,自陣のと金をそらすために唯一の歩をそっと打ち込むこの呼吸が後手に流れを呼び込みます!!!
そして炸裂するガジガジ流.その素人目にも泥臭い金駒のベタ打ちこそ藤井先生の真骨頂ですよ.
713:名無し名人:2012/05/30(水) 19:25:12.77 id:w5HWbi6Q
ガジガジキタ━━(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)━━!!!
食らいついてしまえばこっちのものです.100手を前にして必勝の声まで出てきました.
弱点である▲6三の地点に歩が打ち込めず,角道通しながらのと金作りの筋が大きいので,素人目にも後手勝勢です.
そして迎えた110手目.先手唯一の守り駒である飛車角に王というトリプル取り炸裂!!!
833:名無し名人:2012/05/30(水) 20:00:43.07 id:fQAfEnyY
もう俺でも寄せられる展開だ
オイラもそう思いました.しかし,相手はこういう場面で土俵を割らずに正確無比に逆転してくる渡辺竜王であり,寄せに必要な金駒も金1枚だけなんですよね.
そこから数手でボロボロと飛角を取り去って先手玉を裸にするも,△6七の銀を成ってしまったため,△5六の地点を使って△6五の浮いてる金を活用したり,角や飛車打ちで上部脱出を防ぐ手が使えず,逆に重要な2枚の銀がボロボロと取られる展開へ・・・・・・.
160:名無し名人:2012/05/30(水) 20:07:47.40 id:yMbqWD1O
結局ファンタ負けかよwww
ここまでくると渡辺竜王の積み重ねてきた実績ってのが効いてきます.
恐ろしい粘りから,角二枚で後手玉側を睨んでる状況で,先手へ手番が回ってくるわけです.見てるこっちは心の中で完全にorz状態でした.
しかし,竜王も人の子.最後の最後で間違えてしまいます.
途中で勝又六段が言っていた
人間の勝負だ・・・・・・
というのが本当に身にしみますね.まさに人間ドラマ.
これこそはコンピュータ将棋には絶対出せない魅力です.そして・・・・・・
この瞬間の将棋ファンの喜びっぷりは藤井九段が王位戦挑戦を決めた直後のTLをご覧下さい.オイラも,終わった瞬間は鳥肌立って一人で大騒ぎですよ.
それにしても,気付いたら166手.100手目ぐらいから「このまま終われ」と祈り続けてドキドキしっぱなしで,気付いたら2時間とかそりゃ憔悴しきっちゃうっつーの.
あくまでネット中継でビジュアルが伝わってくるわけではないですが,対局直後の様子は完全に3月のライオンで島田八段が挑戦者決定戦を勝ちきった瞬間で脳内再生されましたね.あーもー,こんなにおもしろい事が世の中に転がっているんだから,去年から将棋始めて良かったわー.
ここを乗り越えてからのタイトル戦挑戦だけに,感動がおさまりません.(´;ω;`)ブワッ
当然のことですが,王位戦七番勝負は超期待しています!!!!
本局が2012年度名局賞だと思いましたけど,まだまだ挑戦者決定戦です.タイトル戦はもっと熱くなってしかるべきです.
勝率? 知るか!! そんなもので計れないからこそ藤井九段がタイトル戦へ挑み,こんなにファンを滾らせてくれるんじゃないか!!!