王座戦で将棋板が沸いた理由を出来るだけ正しくドラゴンボールに例えてみる

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某スレで言われている「単に居飛車党の羽生さんが振り飛車したから驚かれた」ってだけでは無いんだよ!と悶えていたので,スレのように例えつつ,時系列で背景含めつつ詳しく説明してみます.思い返してみると,マンガでナメック星に旅立ったのが20年以上も前な事実に心が折れそうだったのは内緒です.

舞台は将棋界 7代タイトルのうちの『王座戦』ならびに『王位戦』,そして登場人物は以下の三人となります.

 

登場人物

羽生二冠:わりと何でも指すけど比較的居飛車党.今回の『王座』というタイトルを19年連続死守してきた化け物.フリーザ

渡辺二冠:純粋居飛車党.最高位である竜王を7期連続保持している化け物.20代・・・・・・というか全棋士の中で唯一羽生に比肩しうる最強棋士.悟空.

藤井九段:純粋振り飛車党.いぶし銀.超愛されキャラ.先月,『王位』戦で羽生二冠に挑戦するも退けられる.人類代表 クリリン

 

去年の王座戦(2011年8月)

当時の羽生王座は19連覇,19連勝中というチート性能でまさにフリーザ様.しかし,負けず劣らずチート性能な超サイヤ人の悟空が挑んできて,空気を読まず,下馬評を覆しての王座奪還.これにより,タイトル数とタイトルの格付けより,公式に悟空最強となってます.(現在も渡辺竜王棋士全体の序列一位)

 

今年の王位戦挑戦者決定戦(2012年6月7日)

フリーザに挑戦しようとする悟空の前に最後に立ちふさがったのが,なんとクリリン!!! しかも, なんだかんだでクリリンが勝って挑戦権獲得という快挙達成.この辺の盛り上がりは当時のオイラの記事をご覧下さい.

 

今年の王位戦(2012年7月10日~8月23日)

クリリンによるフリーザへの挑戦.誰もが内心諦めきっている中,なんと世間の評判が懐疑的な気円斬を駆使して,序盤でフリーザを圧倒し続けるという魔法を披露.惜しくもタイトル獲得にはなりませんでしたが,気円斬優秀じゃね?という空気を生み出すには十分すぎる活躍だったわけです.(注:気円斬,もとい角交換振り飛車については記事末尾に解説を入れてます.)

 

今年の王座戦第2戦(2012年9月6日)

去年の悟空への敗北を糧に,当たり前のように挑戦者として舞い戻ってきたフリーザ様.
5番勝負の1戦目を落とし,2戦目は負けたくない状態で出してきたのがなんと気円斬.今までの2人で争ったタイトル戦はよく言えば重厚,悪く言えば代わり映えのしない,変化球無しの直球勝負ばかりだったので,そりゃあ驚きますよ.

元々羽生さんは,幾度となく新戦法を突きつけられては跳ね返し,時には自分で使って一定の結論を出しては颯爽と去って行くのを繰り返してきた御仁なので,『王位戦の結果を受けて,何か有力手段を見つけたはず!』と誰もが思ったわけです.

結果的には,派手に駒がぶつかり合う展開を避けた先手がじっくりとした展開に持ち込んだので,気円斬をどう使いたかったのかがいまいち見えなかったのですが,再度後手となる4戦目にまた現れたりしたらおもしろいんですけどねー.

 

 

・・・・・・うん,言いたいことが多すぎて,削っても削っても長文になるし,例えも意味が無かったですね(死

それぐらい将棋観戦はいろんなことがあっておもしろいんです,で許して下さいorz

もっと詳しい解説は『王座戦の三手目で将棋板騒然となってるけど何で?について』が正確なので,合わせてお読み下さいな.

 

角交換四間飛車だけはまじめに解説

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将棋の戦法には大きく分けて飛車を初期位置のままにする居飛車と,飛車を別の位置で攻撃に参加させる振り飛車があり,両者は和食と洋食ぐらい違います.んで,最近は振り飛車党代表だった藤井九段や久保九段が不調なのを中心に,ここ1年ぐらいでかなり振り飛車が厳しくなっています.

特に振り飛車の中心であった『ゴキゲン中飛車』に対する居飛車側の対抗策が進み苦しくなってきたのを受け,今注目されているのが気円斬・・・・・・もとい角交換振り飛車なのです.

90年代までは振り飛車側は角交換すると不利だから角の通り道は歩で遮っておきなさい』が基本だったのですが,2000年代に入って急激に『角道は開けたままの方が作戦の自由度が上がる』という考えが広まりました.そして2010年代の今,『むしろ積極的に角交換した方が得だ』に変化してきているわけです.これだけでも将棋が奥深く,今なお進化している事がおわかりになるとおもいます.

詳しい理由はおいておきますが,角交換振り飛車はかなり今までの常識ではタブーな事をいくつも抱え込むわりには苦労が多く,数年前から率先して指していたのは藤井九段だけでした.しかし,藤井九段も勝率に結びつけることが出来ていたわけではなかったのですが,振り飛車側がゴキゲン中飛車以外の可能性を模索し始め,角交換振り飛車の思想が浸透してきたため,少しずつですが角交換振り飛車を指す棋士が増えてきました.

そこで今回の王位戦ならびに王座戦ですよ.

残念ながら昨日の対局では角交換振り飛車が活きませんでしたが,今後またタイトル戦で角交換振り飛車が現れ,一大旋風を巻き起こすかもしれません.藤井システム,藤井流矢倉に続き,藤井九段が戦法レベルでの改革を起こすとか,ファンとしてはたまりませんね!!!!