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なろう小説を1500万文字以上読む荒行の末に得た知見を共有するよ!

   

※この記事は4000文字弱なため、1500万文字の4000分の1近くという前提でお読みください。

 

25歳以上の社会人で、アニメやラノベをちょっとかじってるレベルのネットおじさん達、ご機嫌いかがでしょうか。
なんか最近、WEB小説発のコンテンツが増えてきたけど、読みもしないで適当なレッテル貼って溜飲下げていませんか? それは老化の始まりですよ!

読まず嫌いで「似たような異世界テンプレばっか乱発して知性の低下なの?」とか考えていた時期が私にもありました。
それでも、曲がりなりにも一大ジャンルを築き上げ、大型書店では本棚一列全部がWEB小説発なんていうこのご時世です。 「読みもしないで批評するのはプライドが許さん!」というビブリオマニアとしてのよくわからん意地だけで努力した結果が、3ヶ月で1500万文字強(2016年2月調べ)だよ!!!!
本当に、私は何と戦っているんですかね? Kindleの積ん読だけで100冊以上あるってのに。

そんなわけで、スレイヤーズで産湯を浸かり、ファウストを啜って育ったサブカルクソ野郎が、死闘の末に得た知見を共有します。 なお、これだけ読んでもまだ8作品。全容の把握どころかまだ2合目って感じなので、にわかな考察になるのは御容赦下さい。

あと、arcadia転載とかノクターンとか細かい事言い出したらきりがないので、私が「小説家になろう」で読んだものは、なろう小説としてまとめてますんで、あしからず。

 

事の起こり

昨年11月下旬。 Kindleセールで買った商業版無職転生(なろうの累計評価で断トツ1位の作品)の既刊分を完走してしまった事に端を発します。その時点で知ったのが「なろう版は完結済み」、「既刊の分厚い本8冊で全体の3割」という現実。 どうする、なろう版も読むのか???
ぶっちゃけ頑張るほど面白くなかったんですが、それでも、頑張った。頑張ってしまったや。

 

結果として完走による妙な達成感で、他の作品にも手を出し始めてしまったんです。 確かに1人の転生を最後まで描ききった事には素直に感嘆したものの、むしろ「これで歴代1位って……」って思いの方が強かったんですけどね。

 

そして勢いで、はてブのncode.syosetu.comの人気上位からNarou.rb(AozoraEpub3)で変換して、Kindle Voyageに突っ込んだ後、今に至ります。

 

文章のクオリティ

一番驚いたのはここです。 意外なことに、読むのが苦痛なレベルのテキストはほとんどありません。むしろ、商業出版のライトノベルの方がよっぽどキツいです。

今のところ人気作しか読んでいないため、「日本語になっていない」レベルは淘汰されているんでしょうか。 また誤字脱字は、感想欄でファンが逐次指摘するという草の根校正が作用しています。 試しに今一番人気らしい作品の感想の更新ペース眺めてみると、数十件/日で集まってますからね。 指摘されると即座に作品へフィードバックされる。 この効果は読者側のモチベーションとしても大きいんじゃないかと。

 

異世界テンプレばかりなの?

はい。

具体的に語りだすとキリがないので異世界に転生したり召喚されたりするのを「異世界テンプレ」としてまとめますが、だいたい人気作は異世界テンプレばっかです。

この「テンプレが存在している」ってのが、なろう小説躍進の最大の理由なんじゃないかと。なろう小説ってのは「多くの読者がいる」、そして「多くの作家がいる」という媒体なため、両者ともに利する面として「お約束」が必要なんですよ。

  • 読者→アマチュア作家の自己満足作品をつかまされにくい
  • 作家→テンプレに沿って書けば書きやすいし、一定クオリティを保ちやすい

さらに同じテンプレで切磋琢磨された結果、人気上位はそれなりに尖った作品が多くなりやすい効果もあるでしょう。
ミステリのトリックが煮詰まった挙句に、新本格で超絶技巧作品が出てきてるようなもんじゃないでしょうか。(よくわからん例え)

参照:「小説家になろう」のWeb小説における異世界ファンタジー類型まとめ

 

媒体の持つ構造的欠陥

未読の人が危惧しているであろう、WEB小説だからこその弊害は当然のように顕著です。

まず抜本的な問題として、文字数のインフレが半端ないです。 ラノベ1冊で10~12万文字と言われますが、なろうには200万文字以上のS級妖怪がゴロゴロ居ます。 幽遊白書で魔界に降り立った直後のようなパワーインフレです。(おっさん発言)
ってか、1500万文字読んで8作品だけってどういうことなの???

そのうえ、

  • 文字数制約がない
  • 全体通したプロットが不十分
  • 一方向への書き足し
  • 人気が出たことによる長編化

などのWEB小説特有の要素が負の方向に働き、ひたすら冗長です。100万字越えてる全作品は、1/3に圧縮されるくらいでちょうどいいくらいの薄味です。

実際、商業書籍化では内容が整理されて削られるんですが、大部分はあとがきで削る事への抵抗について触れている例が多い気がします。 100万字書ける能力があると、削る方が難しいのかもしれませんね。 ちなみに無職転生は、書籍版でどうでもいい期間について1冊丸々書き足していていろいろとおかしいですね。

 

あと、異世界テンプレでは生活自体がストーリーの根幹となるため、目標や目的が曖昧なままダラダラ進む作品になりがちなのも気になります。何を描きたいのかがフワフワしたまま話が進み、下手すれば大きなイベントが起こらない作品まであるんですもん。 自分はミステリやSF畑で生きてきたおじさんなので、特にそういうのが気になるタイプです。 これも構造的な弊害でしょう。

それに異世界テンプレなら「元の世界に戻る術を探す」とか、自分以外の「現代人」を探そうって展開が普通に思えるんですが、そこの比重は少ないんですよね。 それであればまだ、展開にメリハリがつくと思うんですけど。 VRMMOの頃だとまだ戻る選択肢がありましたが、今の中高生には俺Tueeeee要素さえあれば現実世界を感じさせないほうがウケるんですかね???
そういう面では、自分の中で最も評価の高かった「本好きの下克上」が響いた理由も分かりやすいです。 ヒロインの少女は前世では本好きだったため、紙すらまともにない世界で図書館を作ろうと奮闘するって内容ですから、独自要素もあり、全体の流れが飲み込みやすかったんでしょうね。

逆に「異世界迷宮で奴隷ハーレムを」なんかは低評価の極みでした。 だって話に起伏が無く、ダンジョンものとしても未だにヒヤッとする場面すらないんですもん。 奴隷が増えていくところのみ話が進みますが、その繰り返しですしね。 しかし、累計評価で歴代4位。 理解できないッス……。

 

そして長いが故の最大の弊害が、未完問題。

「人気が出る→風呂敷が広がりまくる→書籍化が決まる→更新ペースが落ちる」というデスルートに乗ってる作品がどれだけある事か。 海外ドラマが人気出てはシーズンが追加されすぎて後半がgdgdになるのと似た、媒体全体の構造的欠陥じゃないかと。
たとえば来期でアニメ化されるRe:ゼロなんて、430万字ほど読んだところで全11章のうち5章目だと明かされました。 え、何そのグインサーガ・・・・・・。 (注:Re:ゼロの人は商業出版後も可能な限り更新を頑張っている方ではあります)

 

んじゃ、何を読めばいいのさ?

なろう小説に興味がある人のために、過去に読んだものも含めた2000万字分から順位を付けてみます。

  1. 幻想再帰のアリュージョニスト (250万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n9073ca/
  2. ログホライズン (157万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n8725k/
  3. 本好きの下剋上 (445万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n4830bu/
  4. 極地恋愛 (40万文字, 完結済) http://novel18.syosetu.com/n1896br/
  5. 死神を食べた少女 (34万文字, 完結済) http://ncode.syosetu.com/n5240bc/
  6. 無職転生 (283万文字+31万文字, 本編完結済) http://ncode.syosetu.com/n9669bk/
  7. Re:ゼロから始める異世界生活 (471万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n2267be/
  8. オーバーロード (152万文字, WEB版停滞中) http://ncode.syosetu.com/n4402bd/
  9. 異世界迷宮で奴隷ハーレムを (117万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n4259s/
  10. 夜伽の国の月光姫 (37万文字, 連載中) http://ncode.syosetu.com/n4138ck/

はい、「幻想再帰のアリュージョニスト」最強!!!!!!!
なんだよ、結局は布教記事かよって展開ですが、アリュージョニストが凄すぎるだけです。

 

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘I」

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘I」 [不明]

著者: 香月美夜

クリエーター: 椎名優

出版社: TOブックス

出版日: 2015-01-25

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 250


とはいえ、ここのところ読んだ中ではずば抜けて「本好きの下剋上」が良かったですし、これが無かったら心折れていただろうな、と。
オススメ!と言いたいところですが、445万字で連載中なのでなぁ。

 

死神を食べた少女 (上)<死神を食べた少女>

死神を食べた少女 (上)<死神を食べた少女> [不明]

著者: 七沢 またり

クリエーター: チョモラン

出版社: KADOKAWA / エンターブレイン

出版日: 2015-11-30

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 223


そこでオススメしやすいという観点だと、圧倒的に「死神を食べた少女」かな、と。 なんと、書籍版も上下巻で完結の短さ。

転生などはない純粋な異世界ファンタジーですが、国家規模の戦記になってて、撤退戦を中心とした敗戦の美学が詰まりに詰まっています。 読み始めこそヒロインのキャラ付けが薄くて響かなかったんですけど、後半はグッとくるほど感情移入できたうえ、風呂敷の畳み方も巧いんですよ。
で、これを読んで是非胸に問いかけて欲しいんですけど、これって濃厚な百合作品でいいんですよね? え、違う? 何をどう読んだらそう読めるのかって???

 

おわりに

なろう小説は、社会人が手を出していい代物じゃありません。 時間当たりのコスパが悪すぎます。 金が無いのに時間と暇を持て余した若者のための媒体です。
どうしても気になる人は書籍化済み or 完結済み作品のみにしましょう。 そうじゃないと、見えない何かと戦っている私のようになってしまいますよ?

ただ手を出したことにより、ネットの情報や本屋の本棚が意味のあるものとして理解できるようになってきたのも確かです。 どれも同じに見えますけど、興味があればアイドルだって個々に違いますし、車種だって細かく見分けはつくものなんですね。
私としては、本屋で徐々にテリトリーを広げている「新文芸」(←こう呼ぶらしい?)コーナーにアウェー感を感じなくなっただけでも大成果と思っています。

さあ、1億文字目指して頑張るぞい!(ぉ

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