将棋電王戦について始まる前に書いておきたいこといろいろ

開始30分前にぐわーっと書きました。解説とかじゃないので、少し掘り下げて気のおもむくままに書いてます。

 

勝敗予想

コンピュータ側にとって一番怖いのは、特定の穴を突かれて負けることですが、全く違うソフト5種類なのでそれで全敗はないでしょう。さらに、5戦もやると全員がコンピュータ相手に間違えずに終えるとも思えないので、真っ向勝負の棋士全勝も難しいはずです。

そもそも、単純な棋力だとコンピュータ側が上でしょう。これは、過去の実績とレーティングが証明しています。早指しかどうか関係ない数字ですもん。しかし、このレベルになってくるとわずかな緩手すら許されないので、序盤の微差をそのまま広げる試合運びに長けた棋士なら、終盤の入り口まで互角以上に持っていけると思っています。

あとは対局の注目度や、コンピュータという慣れない相手という影響、そして団体戦の流れなどが棋士側に不利に働くため、棋士側から見てせいぜい2勝3敗かなぁという予想です。正直、棋士側が全敗でお通夜状態もあり得ると思っていますが、今年はまだ5局やれば確率的に1つは取れるでしょう、たぶん。

 

棋士側の対コンピュータ対策

今回の棋士側5人は基本的に居飛車を指す人ばかりなのですが、居飛車というのは対局者同士の合意の上で戦型が決まる面が多いです。プロが好んで指す横歩取り戦法などはその典型です。「今日は横歩取りやりましょうや」と両対局者が望まないと、横歩取りにはなりません。
一方、コンピュータ将棋は戦法の選択をランダムで行う場合が多いため、そんな空気読んだ着手はしないため、コンピュータ将棋の大会を見ていても横歩取りはあまり現れていません。

つまり、人間同士の感覚で居飛車党が特定の局面へ誘導するのは難しいということです。

先手居飛車党が平凡に局面を絞るなら、▲7六歩→△3四歩の形を作って積極的に角交換で手を絞り(後手番の丸山九段風)、もし2手目が△8四歩なら定跡に乗せやすくてラッキーと思い込むくらいでしょうか。
逆に、初手▲2六歩で相掛かりの混戦に持ち込むのもおもしろそうですが、何をやってくるか全くわからないコンピュータ相手に角道止めて戦うのは怖い気がします。

勝手な予想としては、先手の棋士は棋風的に、全員初手▲7六歩スタートの居飛車定跡形でしょう。あとは、2局目のサトシンがあえて飛車を振り、4局目の塚田九段が△6二玉だったら胸が熱くなりますね!

 

コンピュータ将棋のわからないところ

プロレベルの将棋を指していると、コンピュータ将棋がどうなるのかわからない部分をいろいろとリストアップ

  • ▲5八玉超急戦や横歩取り△4五角戦法のような1手も間違えられない一直線ルートでも強いのか
  • 横歩取りのように序盤の1マスの差で勝負の流れが大きく変わる戦法でもプロ棋士を上回れるのか
  • 棋譜には現れないが研究で結果が出た変化に飛び込むかどうか
  • 入玉に弱いのと合わせて、相入玉の点取り合戦という別ゲームに対応できるのか
  • 序盤、中盤の山場で60分以上の長考をできるマシンはあるのか

 

おわりに

今年はプロが先行して、来年、再来年と盛り上がる展開になっていくといいんですけどねぇ……。