羽生三冠とコンピュータの実力が拮抗した状態での頂上対決が見たい!

今週末から将棋電王戦が開始します。プロ棋士5人 VS 将棋ソフト5種類による5番勝負です。

一年前、故・米長会長は自身がボンクラーズと対局した第一回 将棋電王戦の記者会見で、突然「来年の電王戦は5 VS 5の五番勝負にする」と発表しました。もともとは年に一局でじっくりと長いイベントとして引っ張る予定だったのを、一気に繰り上げたのです。
会見会場の反応を見るに、ろくにすり合わせもできていない突発の発表だったように見えましたが、これは実際にボンクラーズに敗れた米長会長だからこそできた「攻めの速度を上げる妙手」だったはずです。なぜなら、実力が拮抗した段階で羽生三冠とコンピュータ将棋ソフトによる究極の頂上対決が見られる可能性が増えたからです。

 

現時点で、最強棋士は羽生三冠と渡辺二冠の二強です。これは、対局の成績から算出されるレーティングで2人だけが抜きんでていることからもわかります。
そして、名声という意味では将棋=羽生さんというのが世間の認識でしょう。

羽生三冠は40歳を越えて通常なら棋力が衰える段階に来ているにも関わらず、未だ名実ともに最強なことは驚異です。けれども、あと5年後、10年後に最強なままでいられるかどうかはわかりません。
一方、コンピュータ側はハード・ソフトともに向上することは確実であり、5年後どころか現時点でもトッププロ相当の実力があるかもしれないのです。

 

愚地独歩……当年とって55歳……筋力・スピード・持久力・技術
ピークを維持できるのは今年が最後だろう……よくぞ間に合ってくれた!!

頭に浮かぶのは愚地独歩の名文句ですね。

一将棋ファンとして、将棋の人類代表である羽生三冠が、名実ともに最強のまま、コンピュータ将棋と雌雄を決するのを見たいのです。これは、渡辺竜王では実績が足りません。世間は棋界の代表だと理解してくれないでしょう。それだけ、羽生三冠のネームバリューというのは圧倒的なものがあります。
かといって、羽生三冠の棋力が最強じゃないと、それはそれで意味がありません。

あくまで二人零和有限確定完全情報ゲームである限り、計算機が人間を越える日は避けられません。願わくはその日が、誰もが納得せざるを得ない形で迎えられることを願っています。

 

おまけ

このエントリ、今年の電王戦を飛び越えた内容なので公開すべきか悩みましたが、現役プロ棋士がコンピュータに公式戦で負けたことがない今だからこそ書くべきだと考えました。無責任に書き散らせるのは立場など無いファンだけですしね。

なお、電王戦については、週末までに観戦ガイドを書く予定です。