KAGEROUの評価が固まる前にさっさと書いてしまえレビュー

KAGEROU
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KAGEROU
齋藤智裕
ポプラ社
¥ 1,470 (定価)
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なし (Amazonポイント)
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単行本
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(価格・在庫状況は4月6日 23:58現在)

第一回からポプラ社小説大賞を生暖かい目で見守ってきたのはこの瞬間のためだったんでしょうね.完全に釣りなのか,はたまた新時代の小説家誕生の瞬間なのか,同じ釣られるなら評価固まる前にさっさと釣られてしまおうと思いまして,さっき軽く吐いたくらいの体調をおして,一気に読みました.まあ,一気に読んだっつっても最近の森博嗣くらいに1ページの文字数が少ないので,さっくり読めちゃいます.

さて,さっそく雑感ですが,わりと悪くなかったですね.

40歳の自殺志願者なおっさんが主人公で,笑ゥせぇるすまん的に怪しい男に誘われて有用な死を模索する中で,命の尊さを訴えかけてくるって内容でした.書いてみると説教臭い感じしますが,文章自体は軽妙だし,展開もいい意味であっさりしてたので,報道でやってた"哀切かつ峻烈な「命」の物語"って重さはありません.

一番危惧してた,オイラには理解不能な携帯小説まがいの電波展開では全くないですし,水嶋ヒロが主人公で映画化されそうなアレな作品でもなく,きっちり小説してました.確かにラノベっぽい冗長な描写に素人臭さは否めませんが,オチまで綺麗に展開してました.作品傾向から言っても,水嶋ヒロが書いているという補正込みでやっと人に薦められる程度ではありますが,少なくとも第一回大賞の削除ボーイズ0326よりはマシだと思います.(笑)

確かに,微妙な小説ではあるが,それを産廃だったポプラ社小説大賞とうまく組み合わせて大きな利益に繋げた企画・編集者を一番褒めてあげたい.