Kindleで本を出した時のお話【販売編】

  1. Kindleでの個人出版で出会った罠一覧
  2. Kindleで本を出した時のおはなし【執筆編】
  3. Kindleで本を出した時のおはなし【修正編】
  4. Kindleで本を出した時のおはなし【画像と権利編】
  5. Kindleで本を出した時のおはなし【表紙編】
  6. Kindleで本を出した時のお話【販売編】

完成したらKindle側に提出して,販売です.わかっていましたが,厳しい情勢です.

審査

連休挟んで待たされた時もありましたが,基本的には提出後24時間以内にAmazonへ反映されました.ただし,一度提出すると編集部分が全く変更出来なくなり,キャンセルも不可になります.確認画面も無くいきなり審査に移るため,きっちり確認してから出版ボタンを押しましょう.

はい,オイラは2度もやらかしましたからね!
一度目は紹介文途中のまま提出しました.これに関しては,表紙編でも述べたように「for Kindle」とタイトルに付けた事が問題になりました.このとき,Amazon側からは

商標登録された名称(AmazonKindle、またはシングルス)への参照を削除してください。

とだけ指示メールが来ましたが,なんのこっちゃわからず悩みました.
幸い,同じミスでAmazon.comにて弾かれた経験を書かれてたブログを教えてもらって事なきを得ましたが,この辺のよくわからない罠は集合知的にノウハウが溜まるのを待つしかなさそうです.

二度目は値付けを間違えました.
間違えたつもりは無くて,「発売地域は日本のみ」の設定にしたので日本だけ100円,他の地域は適当に3米ドルにしてたら,何故か300円になってました..comの価格を反映するみたいなチェックも入れてないはずなんですが,謎です.次の時はきちんと確認したいと思います.

 

値付け

重要なのが,先日始まった70%ロイヤリティプランの発動最低額が250円だということです.200円で売っても70円の儲けが,250円で売ると175円になるのは大きく違うでしょう.(ただし,デメリットも存在します)
まずは250円が1つの閾値になります.

しかし,それなりにネームバリューがあったり,紙の書籍が既にある場合には値段は上げて勝負できますが,執筆もマーケティングも素人の本を買おうと思わせるのは「100円」という価格しかないのではないでしょうか?
これはあくまで自分の感覚ではありますが,Kindleストアの相場は,スマホアプリの相場感覚に近い気がしていますので、出版社を通した本が売られている中で、よくわからない素人の本に250円以上と読書時間を割いてくれるお客さんというのは極めて少ないでしょう。

幸い(?),Kindleでの出版にて儲けを出そうと考えているわけではないので割り切った方針も取れますが,短期的な利益を見据えている場合はそもそも手を出すべき段階ではありません.

 

売れ行き

契約的に言っていいのかわからないので明確な数字は言いませんが,できるだけリアルな数字を出していきます.

前述の通り,値付けを間違って3日間ほど300円で放置していたんですが,友人の分を抜くと片手で数えられる量しか売れませんでした.
こういっちゃなんですが,書きたい事が先にあった訳では無いのでKindleストアでニーズがある題材を狙って書いてこれなので、宣伝無しの300円自作小説だったら,1冊も売れないというのも十分にあり得ると思います.

 

その後,100円に戻ったので宣伝を本格化しました.他に手段がないのでブログとTwitterFacebookです.

当初の予定として、初動で切れるカードは全弾放出してブーストし(30~50冊)、そこからの拡散と、Kindleストア上で目に付きやすい位置までいった効果で、年内200冊かと考えていました。
結果は、少し手続きに手間取って遅れたので年内200冊に届くかはわかりませんが、ほぼ予定通りに推移しています。

まず切ったカードですが、うちのブログが記事単体でも100PV超は見込めるのに加え,SNSのFriendsは2007年からTwitterやってる5年来の関係の方が多く,相当数がおもしろ半分に買って,宣伝もしてくれました.
これがあったからある程度戦略が立てられたので、読んだり、支援してくださった皆様には頭が上がりません。ありがたやありがたや。

そして、Kindleストア全体のベストセラーTOP100に入ると、売れるペースがわずかですが変わってきました。他の流入もあるので正確なところはわかりませんが、1時間に1冊程度は余計に売れている印象でした。1日24冊と考えると馬鹿に出来ません。やはり目に付くところまで来るのは大きいようです。
ただし、ここまで来ると一般書籍との地力の差が出てきます。初動の魔法も切れ、あとは純粋なお客さんに期待するしかありませんが、TOP30程度で足踏みし、ズルズルと落ちる→さらに目につきにくい位置にいって売れなくなる→(ループ)というジリ貧を強いられました。次に打つ手が無くなったのが辛いですね。

やはり、中長期的なマーケティング戦略も用意すべきなようです。本当に売る気なら、作品ないし作者単体の紹介サイトくらいは必要でしょう。

 

ここまで書くと過酷なようですが、現時点でのKindleストアは『相当ぬるい』です。
出版社側と同じレイヤーに立たされているのに、素人が行き当たりばったりで噛みついて「わーい、『天地明察』より上にいるぞー!」と喜べる状態というのは、やりようによってはいくらでも戦略は取れます。ぶっちゃけ、上位に張り付いている何冊かはちんけな自演と自費購入だと踏んでますし、そのレベルの工作が効く世界です。

現時点でのKindleストアの市場規模自体は,1日に2桁前半売れれば「相当売れてる」レベル,1日3桁乗れば「めっさ売れてる」レベルです.そうなると、100円本を1日に5万円で500アカウント作って500冊買えば、余裕で乗っ取れます。そしてその恩恵として「AmazonKindleストア全体で1位になりました」と書けるわけです。何も知らない人なら、Amazonで一番売れた本だとさえ誤認してくれるでしょう。広告費としてはコストパフォーマンス良すぎです。

 

結論

ほとんど売れないけど、それを逆手に取れば何とでも出来そうです。
ある程度までは拡大が約束された市場ですし、投資しがいのある段階だと考えます。(そういう話だったか?w)