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Kindle本の中で理不尽なデスゲーム系作品をまとめてみた

   

Kindleストアの30%ポイント還元が21日まで(たぶん)なので、以前書き散らして放置していたのを引っ張り出してきました。タイムアップギリギリです。
全商品還元じゃないですし、正確な期間も不明なため、購入時には各自できちんと確認してください。

 

さて、久しぶりのジャンル別オススメKindle本まとめ記事です。しかし、オススメ作品の紹介というよりは、特定ジャンル作品のリストアップという趣になっています。そのジャンルとは『理不尽なデスゲームを強いられ系』!!!!

ニッチながら根強い人気を誇る当ジャンル。KDPから同系統が何冊か出ているのに気付いたので、ストア全体から商業作品も含めてまとめてみます。

 

お前たちの中に鬼がいる

目が覚めると机と椅子だけの小部屋で目が覚めた主人公。机に書かれた「お前達の中に鬼がいる……」の文字。そして、他の4つの部屋にはそれぞれ4人の女性が拘束されていた。
その建物を出て、囲まれた森へと踏み出した『次の瞬間』――。

 

KDP枠ながら、商業枠と比べてもかなりの秀作だと思います。発売から相当経っているのに頻繁に全体10位以内に浮上したりしており,創作系で一番成功している作品ではないでしょうか。
早々に「非現実的」な現象を提示するとともに、一人称視点による段階的な情報開示がしっかりと機能しているため、着地点が読めずにグイグイと引き込まれました。とくに、中盤での話を大きく転換させた辺りが巧かったです。オススメ。

 

クリムゾンの迷宮

地球上とは思えないような環境で目が覚めた主人公。手元に残された携帯ゲーム機には一つのメッセージが表示されていた――「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された」

 

さすがの貴志祐介。読者を引き込む力はすごいです。少しスプラッタではありますが、万人向けの娯楽小説に仕上がっています。ただ、好みの問題ながら、展開の派手さだけが先攻してミステリ的おもしろさが薄いのが難点でしょうか。
休前日の寝る前に読み始めて、無計画に休日を無駄にしましょう。オススメ。

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫) [不明]

著者: 貴志 祐介

出版社: KADOKAWA / 角川書店

出版日: 2002-11-08

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 252


 

ダークゾーン

同じく貴志祐介作品です。「軍艦島っぽい異空間へ飛ばされて、参加者を駒に見立てた陣取りゲームを強制される奨励会員(将棋棋士見習い)」という構図はものすごく熱いのですが、ただそれだけです。ゲーム展開も、オチも消化不良です。

 

いらない子ゲーム

大学の飲みサークル全員で離島へ合宿にきた主人公達。航空機代込みで9800円というそのツアーの見返りとしてとあるゲームを強要されるのだが――。

 

同人系PCゲームのノベライズ専用レーベル(たぶん)から出版されてます。カテゴリ的にはKDP枠だと思います。
元々はノベルゲーだったようで、サークルの面子が19人も出てきて読むのがだるいです。幸い(?)デスゲームが始まるまでが長いため、公式サイトのキャラ紹介でビジュアルと突き合わせながら読んでいたら何とかなりました。

展開はしっかりしていますし、最後の見せ方も綺麗だったと思います。続編まで匂わせていていたので、次も出るなら読みたいところです。(ゲームでは続編が出ているけど、アナザーストーリーのFDという体裁っぽい)

しかし、繰り返すようですが、登場人物が多すぎですね。19人もいるせいで1ターン当たりに割けるページ数が少なすぎるにも関わらず、各人物の行動および作中の投票結果など情報が多すぎてます。
なんとかオチは読み通りでしたが、何人かの行動には疑問が残ったままになってます。読み返すのもなぁ……。
少し,伊集院光のでぃーぶいでぃー『だるまさんが動いたらみんなバラバラの巻』を思い出しました。

 

脱出迷路

女子高生 凪浜そよかは夢の中で、首を斬り落とされた。そして、目覚めた先は夜の学校。「おまえは 呪われた お前が死ぬまで 残り寿命――」

 

ヒロイン達が夢の中でデスゲームを強いられます。今日挙げた中で一番致死率が高くて理不尽なゲーム設定です。
本作最大の特徴は、このジャンルにおける『理不尽』を説明する部分をクトゥルフ要素が担っているため、世界設定のバックボーンがカオスな点です。攻略方法も、ルールもアンフェアなものが多すぎるため、C級パニック作品として楽しめる方だけお読みくださいませ。

あと、忘れてはならないのが価格です。三部作なのですが、印刷版では計4095円なのが1500円で買えるため、Kindle版はお得感が高いです。幻冬舎さんは電子化時に積極的な価格設定やるのが良いですね。

脱出迷路 (幻冬舎文庫)

脱出迷路 (幻冬舎文庫) [不明]

著者: 上甲宣之

出版社: 幻冬舎

出版日: 2011-06-15

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 245


 

ヤッテハイケナイ

KDP枠です。高額バイトとして集められた見知らぬメンバー同士でデスゲームが繰り広げられる、よくある奴です。

 

タイトルにもなっている、「走る」、「タバコを吸う」など、日常の動作を「ヤッテハイケナイ」というアイディアはおもしろいと思います……が、それがほとんど活きていません。他にも、参加者に占める異常者の割合が高すぎたり、主催者側の合理性がまったくなかったりと、不満はたくさんでした。

その中でも最も気になるのが、中盤で出てきた超重要そうな『(何が気になってるんだろう・・・?)』の部分が全く解決しなかった点ですよ。え、何それ? オイラの読解力不足???
相当な肩すかしを食らい、読後感はあまりいいものではありませんでした。

……なんかすごく批判的になってしまいましたし、実際オススメか?と言われると微妙です。それでも、その意気や良しの姿勢は大好きです。だってKDPだもの!

ヤッテハイケナイ

ヤッテハイケナイ [不明]

著者: FoneFars

出版社: FoneFars

出版日: 2013-05-03

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 148


 

インシテミル

同じく、高額バイトとして集められた見知らぬメンバー同士でデスゲームが繰り広げられる、よくある奴です。

 

氷菓などを知らない時期に、米澤穂信作品を初体験したのが本作でした。
映画の噂から入ってまったく期待をせずに読んだため、自分の中ではそれなりに評価高いです。 謎の中心が「ミステリマニアだからわかる意識の齟齬」という新本格っぽい取り組みになっていて、そこに満足できたからです。不満点を挙げはじめたらキリがないのですが(笑)

過度な期待せずに読みましょう。

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫) [不明]

著者: 米澤 穂信

出版社: 文藝春秋

出版日: 2010-06-10

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 528


 

極限推理コロシアム

見知らぬメンバー同士で(ry

 

「……まあ、メフィスト賞受賞作品ですし」の意味がわかって、納得できる人でなければ読む必要はないと思います。もちろん、私は矢野龍王作品、すべて揃えています。

極限推理コロシアム (講談社文庫)

極限推理コロシアム (講談社文庫) [不明]

著者: 矢野龍王

出版社: 講談社

出版日: 2008-10-15

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 249


 

終焉ノ栞

この作品に関しては私も把握しきれていません。これもボカロ小説と呼ぶのでしょうか? ボカロ曲が先にあって、その世界観で小説が書かれるという、おっさんにはついていけない例の奴です。あらすじが気になる人はニコニコ大百科『終焉ノ栞プロジェクト』をお読みください。

 

読み物単体としては、山田悠介作品の読者層相当と考えると自分の中では腑に落ちました。普段小説を読まない中高生が、深く考えずに「わー、おもしろーい」と感じそうな作品ですね。(ひどい)

それでも古典的ながらミステリとして成立していますし、これはこれで需要を満たしているんじゃないでしょうか。

終焉ノ栞<終焉ノ栞> (MF文庫J)

終焉ノ栞<終焉ノ栞> (MF文庫J) [不明]

著者: スズム, さいね, こみね

出版社: KADOKAWA / メディアファクトリー

出版日: 2013-02-25

商品カテゴリー: Kindle版

ページ数: 128


 

おわりに

KDPで本出している身としてのコメント.

読者観点からいくと細分化された既存ジャンルというのは初見でも作品のイメージが掴みやすいため、KDP前提で書くとしたら狙い所だと思ってます。
ただ、逆にミステリなどでは「どこまで期待していいのか・踏み込んだトリックを使っているか」などの距離感が掴みにくいため、読んでて戸惑うという問題もあります。たとえば、『貴志祐介』や『メフィスト』などと作品レベルの目安となる要素が先に提示されていたら相応の覚悟を持って読めるわけですが、KDPだとどこまで踏み込んだトリック・展開が用意されているかの保証が無いため、「深読みしすぎて肩すかし食らうのでは?」という懸念が読み終わるまでつきまとうわけです。 

その中で、『お前たちの中に鬼がいる』はよくできていました。世界設定として論理的ではない現象が出てくるのですが、それは明らかに非現実的で考慮材料としては除外できる仕様でした。一方、根元のロジックはしっかりしているのが中盤以降の展開で伝わってくるため、読み進めが快適だったのです。
KDPで小説やる上では、「素人が編集も通さずに出している駄文」であると思われている前提で、端々から「作者はここまで考えて書いているよ」というのが読者に伝わる作品にしたいもんです。

 

ついでに宣伝です。22日(月)17時頃まで拙著『KDPノ全テ』、『自炊ノ全テ』がKindleストアにて無料キャンペーン中です。KDP作家30人以上で集って、青空文庫版『風立ちぬ』を1位から引きずり下ろすイベントの一環です。
昨日までは3位だったんですが、時間とともにズルズルさがる一方で目標達成は諦めつつあります。(笑)

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