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将棋電王戦第5局が10倍おもしろくなるかもしれない対局者紹介 三浦弘行八段 VS GPS将棋

      2013/04/20

先週はバタバタしていて第四局関係の更新ができませんでした。すいません。
第四局についてはあえて深くは触れませんが、塚田九段に投げてほしかった派です。会見は感動的なムードが漂っていましたが、自分はバグを突いた点取りが始まった辺りで醒めきってしまいました。思った以上にコンピュータに負けるとかはどうでもよくなっていて、違う強さを持った二者にすばらしい将棋を見せてほしいと感じているようです。

さてさて、とうとう明日は第2回将棋電王戦の最終局。1勝2敗1分で団体戦としては勝っても引き分け止まりという瀬戸際の三浦八段が、コンピュータ将棋の恐ろしさを体現したGPS将棋を迎え撃って、どんな熱戦を見せてくれるか。異論を挟む余地がないほどのラスボス同士の対局に、今からワクワクが止まりません!!!!

 

先手:三浦弘行八段

棋士の格付けそのものと言っていい順位戦で最上級のA級を戦い続けており、2010年度が1位で名人挑戦、2011年度が3位、2012年度は2位という素晴らしい成績を残しているトッププロの中のトッププロの一人。2012年度は先月の最終戦まで名人挑戦の芽を残していたため、下手すれば名人戦挑戦しながらの電王戦もあり得るか!?という状況でした。

わかりやすく相撲の番付で例えると、大関でしょうか。
今回の他のメンバーはC級1組 or 2組ばかりと前頭○枚目って位置なのに、突然大将戦だけ小結・関脇を飛び越して大関が出てきてます。勝敗はともかく、内容的にGPS将棋が互角以上の戦いをしたら、もう次はさっそく羽生・渡辺の横綱クラスを出すしかなくなりそうなのですが、大丈夫なのか将棋連盟!!?

 

三浦八段の棋風としては、深く緻密な研究で選択肢の少ない局地戦に持っていって、あとは持ち前の終盤力で一気に勝ちきる印象(是非、梅田望夫の『羽生善治と現代』を読んで欲しいのですが、Kindle版無いからもう遅いか!!!?)なのですが、選択肢の少ない局面で間違えないのはコンピュータ将棋の特徴でもあります。それ以前にコンピュータ側が積極的に定跡を外してくる流れもできてますので、そこをどう対処してくるのかが見物ですね。

 

後手:GPS将棋

東大のGame Programming Seminarが脈々と育てているソフトです。マシン数百台の並列計算と言いますが、要は情報処理室などにあるiMacなどを片っ端から使って毎秒2億局面読むという話です。単純にnps多けりゃ強いってわけでもありませんが、佐藤康光九段の緻密な読みを評して「1秒間に1億と3手読む」と言われている過剰表現が現実の物になってるのヤバいですね(笑)

一応、ソース公開されているのですが、Bonanzaと違って派生ソフトは出てきていないと思います。自分も、5年ぐらい前に読もうとしたのですが、Bonanzaのソースは自分レベルでも何書いているのかなんとなくわかるのに、GPS将棋は読む気が失せるレベルで何やってるのかさっぱりです。あの頃から、さらにクラスタ化処理がゴリゴリ追加されていると思うと、読む気は出ません。ありゃあ、流用できるならその腕で一から組んだ方が早いわ。(笑) それでも読みたい人はこちらを参考に。

 

さて棋風ですが、よくわかりません。強いのは強いんですけど、本気を出した(マシンの台数が多いときの)棋譜をほとんど見たことがないので、計れないんですよ。

先月、GPS将棋 マシン1台 持ち時間15分で100万円チャレンジやっていたのですが、あれははっきり言って弱かったと思います。アマ強豪があれだけ集まって81勝3敗(そのうち2敗は弱い旧バージョン)している時点で全然弱くないのですが、解説に入ったプロの第一感の方が正しそうな局面が多く存在しました。さーて、時間とマシンが大幅に増えたらどこまで強くなってることやら。

 

印象深いGPS将棋の一局

昨年の世界コンピュータ将棋選手権 決勝リーグ。電王戦では第1局を戦った習甦との一局。解説動画などは見つからなかったので、局面図多めで解説してみます。(公式(?)棋譜。GPS将棋の評価値などあり)

先手がGPS、後手が習甦で、矢倉模様から相居玉から開戦した急戦。そこで1秒にて指された51手目▲9五角が見事すぎました。昨年の大会を見た中で一番圧倒的な一手です。総手数113手の中での51手目なので中盤の入り口なのですが、ここから習甦は何もさせてもらえていませんので、この一手で勝負が終わったと言っても過言ではありません。

△6二金でなんてことの無さそうなので▲7四歩から繋げるのかな?と思いきや、2二の成銀であえて角に当てずに香車を取っての▲8四香が狙い筋。後手玉は飛車を打ち込まれると終わりですので、9五の角を取れずに少ない持ち駒を投資して合駒するしかありません。

そして数手進んだ61手目▲5五桂がまた見事。角の頭の桂成を権利としつつ、▲6三桂成△同金▲8三香成△同飛▲7二銀のような手筋も狙っています。いろんなところで駒が当たっていて、人間だとみているだけで泣きそうですね。

最後のとどめが75手目▲7二金のタダ捨て。△同金▲4三桂成と進むと、美しいほどに見事な桂馬による挟撃網ができあがっています。これは強すぎでしょう。ここから、なんとか△2一龍と後手も粘りますが、GPS将棋が間違えることはなくそのまま終わりました。

これが25分切れ負けなんですよ。大駒四枚渡しつつも桂馬で完封するこの終盤力だと、早指しではトッププロでも太刀打ちできないんじゃないでしょうか。

 

今回の見所

今のところ電王戦が全局相居飛車なので、後手のGPS将棋には是非飛車を振って欲しいんですよね。でも、そうなるとゴキゲン中飛車になるだろうし、そのときに最新研究ぶつけられるとGPS将棋でも辛そうなので、やっぱり振りませんか、そうですか。

まじめに検討すると、去年の世界コンピュータ将棋選手権も全局居飛車選んでいたのでGPS将棋は居飛車だろうし、三浦八段が振り飛車やってる絵は想像できません。以前から角換わりは苦手という噂レベルの話や、銀桂交換を避けない事が多いようなので、2六歩型で角換わりの先手から3七桂をどう銀と交換できるか?という流れになるでしょうか。(読む材料がなさ過ぎなので投げやりw)

あー、何はともあれ、明日でこのお祭りももう終わりです。
変に予想や期待はせず、世紀の一戦に胸を高鳴らせましょう!!!

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